インボイス制度では、一定の事項が記載された帳簿と仕入先から受け取ったインボイスの保存がなければ、原則として仕入税額控除を適用することができません。
自社が受け取るインボイスへの対応として、仕入先が適格請求書発行事業者であるかどうかの有無、インボイスの様式や受取方法(電子か紙)についての確認などが必要です。
また、公共交通機関の運賃や自動販売機での購入のように、売手からインボイスを受け取ることが困難な取引については、一定の条件のもと帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合があります。
インボイス制度では、書類の名称(請求書、納品書、領収書等)に関係なく、登録番号や適用税率、消費税額等などの一定の事項が記載されたものがインボイスになります。
事業者間取引を行う事業者の場合、通常は、請求書がインボイスになるでしょう。また、取引の都度、取引先に納品書を発行し、請求書は1か月分をまとめて発行するような場合には、納品書に一定の事項を記載することでインボイスにすることも可能です。どちらをインボイスにするかによって、消費税額の計上時期が異なります。
インボイスは、レシートや手書きの領収書でも構いません。小売業など不特定多数の者と取引する事業者は、インボイスに代えて、記載事項を簡易にした簡易インボイスを発行することも可能です。
インボイス制度が始まると、買手は売手から受け取ったインボイスと一定の事項を記載した帳簿書類の保存がないと、原則として仕入税額控除ができなくなります。
インボイスは、売手が買手(得意先)に、適用税率や消費税額等を正しく伝えるための手段となるもので、きちんと対応しないと得意先に迷惑をかけることになります。
インボイスを発行するには、適格請求書発行事業者の登録を受けなければなりません。買手が、仕入税額控除を必要としない消費者や免税事業者のみの場合は、インボイスを発行する必要がないため、あえて適格請求書発行事業者の登録をしないという選択肢が考えられます。
企業は、ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)等の返済の本格化や、原材料・仕入価格(変動費)、燃料費・光熱費(固定費)などのコスト上昇という厳しい状況の中にあり、付加価値を増やす対策が必要となっています。
利益確保のための方策を検討して、アクションプランに落とし込み、資金計画を作成しましょう。このような収益力改善の取り組みに対して、国も「ポストコロナ持続的発展計画事業」(ポスコロ事業)などで支援しています。
ポスコロ事業は、経営改善に取り組む企業が、税理士などの認定支援機関の支援を受けて、資金計画、損益計画、アクションプラン等による早期経営改善計画を策定する場合に、費用の一部を国が補助する制度です。4月に制度が改正され、過去にこの制度を利用した企業でも、一定の場合は2回目の利用が可能になりました。
エネルギー・原材料価格の高騰、急速な円安などから原価の上昇を招いていますが、単に原価上昇分を反映させるだけの値上げは難しいと考えている人も多いのではありませんか。「価値」を高めて「価格」を上げるなど、「上手な値上げ」を考えてみましょう。
①値上げしやすい商品や取引先から値上げする。
②商品の機能・品質を基本形のみに絞った「基本形」の部分を値下げして、無償提供していた付属品やサービスなどをオプションとして有料化する。
③価格帯を増やす(例えば、2つの価格帯のある商材について、中間にもう1つ価格帯を設けるなど)。
④直販を増やして、粗利益の増加を図り実質的な値上げ効果を得る。
⑤独自化や差別化によって、高い価格で販売できるブランドをつくる。
役員と会社の関係は、同族会社やオーナー企業であっても、法律上は別人格です。役員と会社との間で、金銭や不動産の貸し借り、資産の売買などを行う際には、外部との取引と同様の手続きを踏まないと、会社法上や法人税法上の問題が生じるおそれがあります。
例えば、金銭や不動産の貸し借りを行うときは、「金銭消費貸借契約書」や「不動産賃貸契約書」を作成します。会社への損害を防止するため、取引の内容によっては株主総会や取締役会の承認決議を受けて、議事録を作成します。
役員が会社から受け取る、または支払う利息や家賃が適正でない場合に、法人税法上、役員給与とされる場合があるため注意が必要です。
役員給与は、会社法上、株主総会において総額を決議し、各役員の給与額は、取締役会や取締役間の協議等で決定します。
実際の支給にあたっては、1か月以下の一定期間ごとに同額で支給する定期同額給与であれば、全額損金算入が認められます。ただし、期首から3か月以内の改定など一定の場合を除いて、原則として、事業年度の途中での支給額改定は認められません。
役員賞与を支給したいときは、予め支給時期や支給額を決め、所定の期日までに税務署へ事前確定届出給与として届け出て、届出どおりに支給すれば損金算入が認められます。
オーナー企業の場合、経営者自らが自身の役員給与を決めることになりがちです。自分の会社という意識から主観的に決めるのではなく、前年実績、当期の利益計画や業績見込みなどを基礎に、経営の現状と1年以内に返済する借入元本額を含めたキャッシュ・フローを確認して、よく検討した上で給与額を決定しましょう。